10月の中旬から始まった世界中を駆けめぐるニュースについては、1929年の暴落を引き合いにしています。それまでの株価暴落は1987年を比較しながら語られていることが多かったのですけど。
「信用貸し」を、いまでは「レバレッジ」として表現しているけれど、少ない元金を大きく見せる仕組みは、結局当時と変わりない。そして先物取引、空売り…と、投資から還元される利益のシステムは、その頃と大差も無かったワケだ。
この状況から1929年の出来事を引き合いに出している。
この時代について、一冊の本を紐解いた。
それは『オンリー・イエスタディ』(F.L.アレン著 筑摩書房刊)だ。
20年代のアメリカを、一人の冷静なジャーナリストが綴った作品として、フィッツジェラルドの小説と共に、当時を語るに欠かせない書籍の一つだ。
20年代のアメリカ。一次大戦後の戦勝国アメリカ。“ゴット・ファーザー”アル・カポネが闊歩し、禁酒法にもぐり酒場。フラッパーにチャールストンとラプソディ・イン・ブルーのメロディにクルマを流し、それは新しいメディアであるラジオからで、強気相場の株式で溢れたマネーは土地投資として成り立って、見上げるスカイラインの摩天楼が形成された時代。
人々の欲求がエスカレーションし、発泡水(シャンパン)を注がれる客よりも、注ぐ給仕の方が“架空の資産”に浮かれていた時代だ。
“バブルに沸く”とともに“沸いた顛末”についても描写されている。
当時の株式投資の仕組みと事実、その周辺にあった人々の出来事が、ジャーナリストの視点で淡々と書かれているのだ。
最近の事柄から読み返した本。個人的には、改めてジャーナリストの真髄を感じる。
廃版になっているようで、書店ではなかなか見当たらないようですけどね。
この本には次のように結んでいます。
─一つだけ確信をもって言えることがある。繰り返しはしないだろう、ということだ。時の流れは、しばしば同一の進路を取ることがある。しかし、それは常に自ら新しい道程にむかって歩んでいくのである。─
この結びを、あなたはどのように解釈しますか?
繰り返すのではなく、実は新しい方向への変針点にいるのかもしれません。

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